動物病院が合同説明会で獣医師を採用するためにするべき準備とは?
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動物病院が合同説明会で獣医師を採用するためにするべき準備とは?
動物病院の合同説明会は新卒を獣医師の採用活動において非常に重要です。ただ、重要性については理解しつつも準備については手が回っていない動物病院の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、主に合同説明会や動物病院に参加する際にどういった対策が必要なのかを解説いたします。
同会社説明会とは
特定の場所に獣医学部の学生と事前に申し込みを行なった動物病院が集まり、就職するかどうかを判断する集まりです。単独で行う病院説明会とは違い、一度の多くの学生に会う事が出来るのが大きな特徴です。
主催者は、自治体や就職情報会社、ときには大学が学内就職セミナーの規模を大きくして合同説明会という形式で開催する場合もあります。
参加する動物病院数は、大学主催の場合は最大50医院ほどが集まります。自治体が主催して行う場合は100医院以上の動物病院が集まる場合もあります。
全体の動物病院の概要説明や採用担当者や若手社員が直接、学生と対話するほか、自治体の担当者から学生に対して、セミナーが行われることもあります。
合同説明会は、自治体や学校が独自で学生を集め、会場を確保します。その為、参加する側の動物病院は、参加費用やブース代を支払えば多くの学生との接点を持つ事が可能です。
しかし一方では折角お金をかけて出店したとしても、多くの動物病院が同時に出展していますので、自院が埋もれてしまうリスクも考えられます。
そのためにも、単独の病院説明会以上に、学生の関心を自院に引き付けるための戦略を十分に練り、多くの学生に興味を持ってもらうための対策を実行する必要があります。出来るだけ自院の特徴をわかりやすくまとめ、告知をしなければなりません。
ここからは、求職者に好印象を持ってもらうための対策をお伝えします。
動物病院への好印象は、念入りに準備したプレゼンで獲得する
合同説明会の数ある動物病院ブースの中で、記憶に残る動物病院になるには業績や待遇条件の詳細な説明以上に、自院に対する好感度を上げることが大切です。またそこから動物病院に応募してもらう「仕掛け作り」も大切になります。
自院の動物病院の良さを「情熱」的にアピール
単なる動物病院の概要説明に終始したのでは、動物病院説明は失敗です。自院のビジョンや社会的使命、動物病院設立時の強い想いなどを、動物病院トップが情熱をこめて学生に語り掛けることが重要です。
そういった話は求職者にはもちろん、動物病院で勤めている獣医師や動物看護師にとっても重要になります。自分たちの動物病院を第三者にプレゼンすることは、改めて動物病院の環境を振り返ることに繋がり、動物病院に対して誇りを持ってもらいやすくなります。
配布資料は図表を使って簡潔に
動物病院説明会において、詳細で分厚い配布資料はあまり有効とはいえません。
ほかのブースでも大量に資料をもらう学生が、持ち帰って読んでくれるとは限りません。配布資料にも説明会会場でモニターやスクリーンに投射するグラフや図、写真などを多数使って、一目でわかる簡潔な資料作りを心掛けましょう。
その際、さらに詳細な説明やデータについては、その場にいる獣医師や動物看護師に直接質問する機会を設け、自社HPの当該ページのURLを明記するなど学生側からのアクションを誘引することで、熱意ある学生をすくい上げることができます。
講義型の説明はできるだけ短くする
大まかな説明や、採用についての情報など担当者がきちんと説明すべきポイントについては、それなりの時間が必要です。
しかし説明会すべてを、学生がひたすら見て聞くだけの受け身型の講義スタイルにするのはよくありません。
それでは、他の動物病院と同じで、なかなか記憶に残る説明会にはなりません。
質疑応答の場を設けるのは必須ですが、参加した獣医学生や動物看護師の専門学生が積極的に参加できる工夫をすることが自院の動物病院への理解度を高めます。
参加学生を少人数のグループに分け、その中に若手獣医師や動物看護師が1~2人混じってディスカッションを行き、業界にまつわる雑学的クイズを出題するなど、学生を引き込むプレゼン法は数多くあります。
「動画」で親近感をアピール
説明会で流すビデオ・動画といえば、制作会社に依頼して作ったプロモーションビデオをイメージする人が多いでしょうが、最近、他の業界のベンチー企業などで採用されているのが、YouTube風な動画による紹介で十分です。
若手獣医師がリポーターとなって、動物病院で務める他の仲間と紹介したり、実際に教育している風景を自らカメラを回しながらコメントを入れて追うといった手作り感のある動画は、綺麗に作られたPRビデオ以上に学生にリアルに響きます。
他にも研究風景を動画に収めることも効果的です。
特に若手の獣医師はどういった環境で自分が教えてもらえるのか不安に抱いている方が多いです。そういった不安を払拭する手段として是非動画撮影をしていただければと思います。
説明会参加はこう挑む![心構え・注意点]
次に説明会に携わる自院のスタッフ(獣医師・動物看護師)が気を付ける点や心構えについて解説します。動物病院と学生の婚活パーティともいうべき合同説明会で、ターゲットの学生の心をみごと射止めるには、なにより動物病院側の参加者の情熱と誠意が採用力を大きく左右します。
一方的なプロモーションでは、魅力は伝わらない
限られた時間の中で自社の魅力を伝えたいと思うあまり、動物病院側が一方的に学生に話し続ける説明会では、動物病院の魅力は伝わりません。
人は長く話せば話すほど、相手にその内容が伝わらないというのは、コミュニケーション学の基礎の基礎。
プロモーションをする間に学生に対して質問を投げかけ、挙手の誘発、参加者へのインタビュー、参加者同士でのディスカッションなど双方向のコミュニケーションを意識的に取り入れることで、学生の「聞かされている感」は軽減し、自分も話題に加わるために考えながら話を聞くために、理解度が高まります。
そういった全体的な満足度を高めなければ、双方向の理解は促進されません。そのため、院長先生は、スタッフが一方通行のコミュニケーションを行わないように事前に伝える必要があります。
全体の参加人数より、本当に欲しい学生の集客が重要
他の動物病院と合同で行う動物病院説明会では、つい「自院のブースに何人動員したか」を他の動物病院と競って成果としてとらえてしまいがちです。
しかし、結果的に内定につながらない学生を何人呼び込んでも、真の意味で成功とは言えません。
前もって確認したターゲットとなる学生が、思わず聞いてみたくなる自院の「研修制度」「若手獣医師・動物看護師の成長促進環境」「若手社員の本音トーク」などの売りとなるプレゼンポイントを、合同説明会開催を知らせるHP上で予告したり、当日配布のチラシなどに目立つように掲示することで、欲しい学生を集客することが可能になります。
説明会当日までの準備手順
さて次に、合同説明会参加が決まってから当日までの準備手順を見ていきましょう。
1、当日のスケジュール表・台本作成、時間配分とともにスタッフの動きも明確化
まずは当日のスケジュール表を作成します。
ここまで対策を取るのは大変かと思いますが、
タイムスケジュールだけでなく、その際のスタッフの動きがひと目でわかるよう人員配置図や担当者も明記されてあると良いです。
例えば、今回のプレゼンターによる動物病院概要の説明の場合、プレゼンターとなる人事担当者の動き以外に、説明に必要なプロジェクターを操作するスタッフ、掲示する資料の内容、配布資料の追加配布・確認スタッフなども台本に書きこみます。
そこまでできると本来であればベストです。しかし、正直そこまで対策している動物病院はほとんどありません。そのため、まずは大まかな動きは確定させておいてください。誰がプレゼンをメインで行うのか。誰が資料を学生に配るのか。誰がブースに学生を呼び込むのか。誰がアンケートを回収するのか。
合同説明会において、どういった工程が必要なのかをあぶり出し、責任者を決めてください。そういったことをしない場合は、当日の合同説明会の成果として誰も有効な獣医師を獲得できなかったという事態になることもあり得ます。
また当日、あらゆる事態に備えて、自由に動けるフォロー担当者を決めておくのが大切です。しかし、合同説明会に参加できる人数は、動物病院側の場合3名程度が多いです。そういった背景から考えると、一人2役行い、一人自由なフォロー担当というのが現実的です。
また、プレゼンテーションを行うスタッフは、それぞれ練習を行い、最終的に院長先生の前でプレゼンを実演して、スピーチに修正点がないかを確認します。説明会成功には、事前のリハーサルが必要不可欠です。
2、アンケート用紙 採用の改善に欠かせないアンケートの設計
説明会に参加した学生にアンケートを募ることで、学生のリアルな声をくみ上げることができ、自社の今後の採用活動に役立ちます。
率直な感想の中には、耳の痛いものもありますが、集計後にしっかりと分析してその結果をトップや採用チーム全体で把握することにより、よりよい人材確保に直結します。
また、アンケートに答えてもらうことで、説明会参加時点で動物病院が誘導したいゴールに希望がなかった場合でも、学生のメールアドレスや大学名、連絡先などを入手することができるので、気になる学生に対しては継続的にフォローアップを行うことが可能になります。
アンケートを上手に活用することで、よい人材の見極めや誘導に役立つこともあります。
3、配布する資料で印象付ける
業者任せにできない動物病院説明会の事前準備に「配布資料の制作」があります。
たとえ実際のパンフやチラシ等の制作を外部委託するにしても、その内容については動物病院が主体となって構成案を作り、どんな内容、デザインにするかを検討する必要があります。
4、盛り込むべき内容は?
配布資料に盛り込むべき必須の内容は、自院の動物病院の概要や仕事の内容、他の動物病院との違い、現場社員の声などです。また直接、学生からは聞きづらい福利厚生や退職金制度、研修制度や実際に支払われ給料などについて触れておくのも一案です。
5、説明会資料は何で作るのがベスト?
プレゼン時にスクリーンやモニターで見せる資料は、パワーポイントを用いて作る動物病院が多いようです。配布する紙の資料なら、ワードでも十分に作成することができます。
ただしワードを使う場合も、文字がずらっと並んだ資料にせず、写真や図表。イラストを盛り込んで、簡潔に内容がわかる資料作りを心掛けることが大切です。合同説明会だけでなく、採用活動で広く利用するパンフレットなどを作り場合は、制作プロダクションなどに外注するのもよいでしょう。
採用パンフレットで重要なことは、見た目です。パンフレットを活用することで、学生の右脳に働いた後のことをイメージさせる必要があります。そのため、採用パンフレットは、できるだけ多くの写真を活用してください。
6、学生が最も聞きたいのは「先輩社員の生の声」
資料にぜひ加えるとよい項目のひとつに、入社数年の先輩獣医師、動物看護師の声があります。
仕事のやりがいや動物病院の良い点などを、先輩社員の生の声として学生に伝えるために、顔写真や職種、名前、勤続年数などを添えたり、会話口調で吹き出しに配置するなどの工夫をすると、より学生に親しみを抱かれやすくなります。
また、学生の「この動物病院でやっていけるのだろうか」という不安を払拭する意味で、動物病院の雰囲気や方向性を紹介したり、求める人材像をイラスト化したり、若手獣医師・動物看護師の活躍ぶりを紹介する資料があるとよいでしょう。
本年度の自院の動物病院で起きたトピックや業績など、直近の自院の動物病院の動向を知らせる速報性のあるニュース的な項目も、他では得られない情報として学生に好印象を与えます。
7、当日の持参アイテム
説明会当日、必ず持っていくべきアイテムを列記します。
・タイムスケジュール・台本:会場のスタッフ全員が常携
・配布資料、パンフレット
・筆記具:学生用の記入用筆記用具として多めに準備
・スクリーン・モニター
・ノートパソコン・プロジェクター
・レーザーポインター
・説明会時に必要な資料が入ったファイル
・マイク
・延長コード
・スタッフがつける社名入り名札
・エントリーシート
・飲料:スタッフ用だけでなく、面談タイプの場合は学生用も
・出席名簿:受付で参加者の氏名学校名、学部名などを記入してもらう
・文具など
・ビデオカメラ:当日の自社説明会の様子のほか、会場設営。準備の様子、また他社のプレゼンなども撮影しておくと、次回以降の採用活動の参考に
まとめ
説明会に飛びつかず、目的を明確にした上で参加する。
スタッフをしっかり巻き込んで採用活動を行う。
事前準備が説明会の成否を左右する。
プレゼンには代表やそれに準ずる者が参加する。
説明会を一方的なプロモーションの場にしない。
アンケートをしっかり取得し、継続的に改善を行っていく。
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