動物病院のマネジメント
皆様は動物病院の組織マネジメントについて、どのようにお考えでしょうか。
今回は動物病院のマネジメント方法について解説いたします。
1.組織の4つのステージについて
2.やりがいのある組織とは
3.院長として、やらせきる力
4. 3種類の人材
5. スタッフ(代診の獣医師や動物看護師さん)への伝え方について
動物病院の規模にもよるかと思いますが、永続していく動物病院であるためには、
組織マネジメントというのが非常に大切になってきます。
組織とは、主に4つのステージがあると考えられています。
1.壊滅的な組織(働きがいも、働きづらいゾーン)
2.仲良しクラブ(働きがいはないが、働きやすさゾーン)
3.野戦病院(働きがいはあるが、働きづらいゾーン)
4.グレートな組織(働きがいもあり、働きやすいゾーン)
永続していく為には、グレートな組織を目指す必要があります。
では、どういった順番でグレートな組織を目指せば良いのでしょうか?
現在、
1のステージの医院様は、最初に働きやすさを追求するべきなのでしょうか?
それとも、3の働きがいを追求するべきでしょうか?
答えは、まず働きがいを追求することです。
では、なぜ働きがいなのでしょうか?
答えは、動物病院の組織の特徴に隠れています。
動物病院は、女性比率が一般企業に比べて高いです。
また動物看護師は、毎日同じ仕事を繰り返す形が多いです。
そのような状況の時に、
働きやすさを追求すると、
毎日の同じ仕事に飽きてしまっている看護師さんたちは
仕事よりもプライベートの充実を望むようになります。
そうすると、働いている時間は、出来るだけ自分の負担が少ないように動き、他の人に仕事を任せて、病院としてのサービスの質が低下し、飼い主さんが離れ、、
と悪循環が発生します。
では、働きがいを追求するとどうなるのでしょうか?
働きがいを追求とは、日々新しい仕事を看護師さんにしてもらうことになります。
また、最終的には、担当制で、責任も一任できるようにします。
そうすることで、どのような事が起こるか?
それは、仕事とプライベートを充実できる組織です。
新しい仕事は、スタッフにとって、負担が大きいです。
しかし、新しい体験は、成功体験をすることによって、喜びに変わります。
一度成功体験を味わうと、挑戦する楽しみを覚えます。
そうすると、スタッフが自発的に動く組織になります。
仕事に責任感も生まれます。
病院としてのサービスの質も上がります。
福利厚生を充実できるだけの資金が集まります。
従業員に還元できます。
結果、グレートな組織になります。
もし、今後の方針について、悩まれている方がおられましたら
こちらのコラムを参考にして頂けますと幸いです。
目次
やりがいのある組織とは
私は、やりがいのその先にグレートな組織は存在すると考えております。
皆様は、スタッフに自発的に仕事をしてもらうためにどのようなことをしておられますか??
色々なお考えをされている方も多いと思うのですが、
スタッフに自発的に動いてもらうためのミソはいかに仕事を任せるかというマネジメント方法が大切です。
それは皆様も把握されていますかね?
スタッフ一人一人の出来る仕事の幅を増やすことでスタッフは自発的に動いてくれるようになるのです。ただ、ここで注意なのがどのように任せるかです。
1番良いのは、マニュアルを整備することです。
そうすることで、業務の説明をする方もされる方も理解度が加速されます。
他にも、スタッフたちの動きが属人的ではなくなりますのでそちらも良い点かと思います。
マニュアルを整備できない場合でもしっかりと仕事の全体像を伝えてから仕事を任せてみて下さい。
※もちろん責任は獣医師さんが取らないといけないなど難しい部分もありますが。
スタッフがより自発的に動いてもらえるとより良い組織になりますね。
「院長として、やらせきる力」
日々の診療の中で今の読者は獣医師さんや看護師、トリマーさんと連携をして仕事をされている事と思います。
当たり前の話ですが、良い組織マネジメントを行うことは貴院を永続させるために必ず必要です。
では、良い組織とはなんなのか。
私の考える良い組織とは、スタッフ達が自発的に動く組織であり、院長のビジョンを共有して
その方向に全員で動いている組織です。
こんな組織を実現できたら幸せだと思いませんか?
では、良い組織とはどのように作るのか。
それは、正直院長次第です。
院長がスタッフを巻き込んで
スタッフマネジメント・病院経営を行ってください。
スタッフ達に仕事を委託していってください。
スタッフ達ができる仕事の幅を増やす仕組みを作ってください。
その為には、スタッフ達に仕事をやらせきる形を取ってください!
「3種類の人材」
日本電産の永守重信さんは人間には3つのタイプが存在するとおっしゃっています。
自燃型、他燃型、どうしようもないタイプの3つです。
自燃型は、自ら燃えるタイプなので、指示をしなくても勝手に判断して行動したりする優秀なタイプです。
他燃型は、他の人が燃えていると自分も燃えるタイプです。
どうしようもないタイプは、自燃型の人が近くにいてもほとんど燃えないタイプです。
つまり仕事をあまり意欲的にしないタイプです。
どうしようもないタイプなんていらないじゃないか?と思う方もいると思うのですが、
実は組織において、3つのタイプは全員必要なんです。
どうしようもないタイプは、
飲み会の席などで場を盛り上げ、雰囲気を明るいくしてくれるなどの驚くべき特性などを持っていたりします。
他燃型は、自燃型の近くにいると一緒に燃えてくれます。
ぜひ院長がうちの組織には、優秀な人は一人もいないと思われるようでしたら、まず院長が自ら燃えてください。
そうすることで、より強い組織ができると思います。
うちの会社もそうですが、会社を俯瞰的に見たときに
良い上司と悪い上司がいます。
※上記の上司は、船井総研の場合、部長、GMなどになります。
これは規模と女性比率が高いという動物病院でも根本は同じです。
動物病院においても良い院長と悪い院長がいます。
それは属人的なものなので、どうしようもないですが。
良い院長の組織は、業績も伸びますし、悪い院長だと逆です。
では、良い上司とは、なんなのか。
それは、良い=強いリーダーです。
強いリーダーとは、下記3つの条件を備えています。
①自分が獣医師も含めてスタッフを実績の部分で引っ張っていける
②部下(VET,AHT,トリマー)に結果を出させるために、責任を持って取り組む
③部下との価値観の共有、価値観に沿った対話ができる部下(スタッフ)は、自分のためを思って話をしてくれていると感じないと話を聞きません。
※聞いているふりをするだけで、お互い時間の無駄です。
なので、
上記③点を意識して、日々の診療に取り組んでいただければと思います。
ちなみに強いリーダーの先には強いボスというステージがあるのですが、そこは詳しくはまた、後日伝えします。
端的にいうと、
強いボスは自分の分身を何人作れるかで左右されます。
うちの会社でいうと、
社長や、執行役員は強いボスなんだと思います。
組織が大きくなるとそれ相応の問題は色々あるかと思いますが。
院長の価値観を落とし込むマネジメントとしては、
①スタッフの価値観を把握する
②ひたすら同じことを言う
まずは是非強い組織を作るためにも
価値観の共有、対話を実践していただければと思います。
スタッフ(代診の獣医師や動物看護師さん)への伝え方について
「落語から学ぶ伝え方」
落語家の人が講演の中で
実際に言っていたこととして
笑いとは、安心のことである。
安心すると言うことは、
ルールを分かることである。
と、おっしゃっていました。
噺家として、
話を消えている人を不安にさせる間を作り
ルールを理解する間を作ることを
心掛けているそうです。
例えば
「隣の空き地に囲いが出来たねぇ」「囲い(へい)」
や、
「鳩がお前の頭に何か落としたよ」
「糞(ふーん)」
などです。
ぜひ飼い主様、貴院のスタッフにも伝えるときに、安心する為の間があると良いかもしれませんね。
集中して聞いていましたが、噺家のプロの凄さはまだ自分には分かりませんでした。
もっと勉強します。