動物病院の来院数はどれぐらい?来院数を増やすための取り組みとは
動物病院の開院前後には、1日の来院数が気になる方が多いのではないでしょうか。1日の来院数の目標値を設定する際には、年商を考慮する必要があります。また、目標達成のためには、来院数を増やすための取り組みが欠かせません。ここでは、動物病院の来院数を増やすための取り組み方法について詳しくご紹介します。
目次
動物病院の1日の来院数の目標値
動物病院の1日の来院数は、立地や規模、知名度などで異なります。1日20~50人ほどの動物病院が多いでしょう。そのため、大体の平均として1日30人は目指したいところです。この目標値の根拠について、順を追ってご説明します。
動物病院の年商は、農林水産省の動物病院の件数データと統計局が配信しているデータを掛け合わせることで算出できます。動物病院の平均年商は2,800万円ほどです。
週休2日の場合、1年間の診療日は約250日です。年商2,800万円を250日で割ると、1日の目標売上は約11万円となります。1回あたりの診療費については、クライアントの平均でだいたい8,000円~1万円になります。間をとって9,000円で計算してみましょう。1日の売上目標約11万人を約9,000円で割ると、目標の来院数は1日約12 人となります。
1人あたりの診療費は動物病院によって異なるため、実際に開業してから思っている以上に診療費が高くなる可能性もあります。その場合は、1日の来院数の目標を調整しましょう。
動物病院の来院数を増やす方法
動物病院の来院数を増やすには、小さな積み重ねが必要です。一気に来院数を増やす方法は存在しません。次のような施策を可能な限り高いレベルで実施することが大切です。
来院数を少しでも増やす意識を持つ
ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」によると、1年間に動物病院に行く回数は、3~5回ほどが平均です。1日30人の来院数を目標とする場合、1年間で7,500人の来院が必要です。1年間の診療日が250日で1人年4回来院すると仮定した場合、1,875人の顧客が必要となります。
1,875人の顧客を得るためには、来院数を少しでも増やす意識を持つことが欠かせません。また、初年度からこれだけ多くの顧客を得ることは難しいため、数年かけて目標値を達成することを目指しましょう。
ホームページやブログのSEO対策をする
近年では、動物病院を探すときにインターネット検索することが一般的です。どれだけ素晴らしい動物病院でも、ユーザーに見つけてもらえなければ来院には繋がりません。動物病院の存在を知ってもらうためにも、ホームページやブログなどは必ず作りましょう。
また、ホームページやブログには、SEO対策が必要です。SEO対策とは、Google検索において上位表示されやすくするための対策のことで、記事投稿、リライト、ディスクリプションの設定、オリジナル画像の使用などの方法があります。
ご自身で勉強してSEO対策を学ぶことでコストを抑えられますが、SEO対策は日々変化しているため、こちらでお悩みの方はぜひご相談ください。
MEO対策をする
MEO対策とは、Googleマイビジネスで上位表示されやすくするための対策のことです。そもそもGoogleマイビジネスとは、「地域名 動物病院」などで検索したときに、Webページよりも上部に表示される店舗情報のことです。
MEO対策に成功して上位3位に入れば、より多くの集客を見込めます。動物病院の名称や電話番号、住所、ホームページのURL、アピールしたいことなど、できるだけ多くの情報を登録しましょう。
パンフレットやメルマガなどで継続的な来院を促す
院内で配布するパンフレットやメルマガなどは、顧客獲得に役立ちます。パンフレットで動物の病気や治療法、独自の取り組みなどを伝えれば、信頼性が高まります。また、メルマガで時事ネタやお役立ち情報を配信した場合も同様です。
メルマガは、1日の配信回数や頻度、内容を誤ると顧客離れにも繋がり得るため、専門業者に委託することも検討しましょう。
全スタッフの対応力を上げる
かかりつけとして利用してもらえるかどうかは、獣医師や動物看護士、スタッフの対応力にかかっています。受付対応が悪い、治療の説明が不十分、心無い言葉をかけられた、といった事態は、顧客を失うばかりか悪い評判が広まることにも繋がります。
全スタッフの対応力の向上は、顧客満足度を高め、より多くの来院数を確保することに役立ちます。ただし、スタッフに対して「飼い主さまの気持ちになって丁寧に対応するように」と伝えるだけでは、対応力は上がりません。
給与や福利厚生などを充実させて、モチベーションを引き出すことが先決です。そのうえで、飼い主さまのアンケートやクレームなどから、自院に足りていないものや伸ばすべき項目などを考えましょう。
動物病院の来院数を増やしたいときの注意点
動物病院の来院数を増やしたいときは、回転を重視したり診療費を高く設定したりしがちです。動物病院は、人の病院と同じく命を預ける場所のため、信頼されなければ通ってもらえません。動物病院の来院数を増やしたいときは、次の注意点を守りましょう。
相場に基づいて診療費を決める
動物病院は診療費を自由に設定できます。1日の来院数が少なくても売上目標を達成したい場合、診療費を高く設定してしまいがちです。しかし、周辺の動物病院よりも診療費が高すぎる場合、来院数が減ってしまうでしょう。
周辺の動物病院の診療費を調べたうえで、大体の相場を確認してみてください。なお、最初に診療費を高く設定して、様子を見ながら下げることはおすすめできません。一度、他の動物病院をかかりつけにした方は、診療費を下げただけでは戻ってこないことが多いのです。
初診料だけではなく、各治療費ごとに相場を確認して、適切な料金を設定してください。
診察をおろそかにしない
回転率を上げるために診察をおろそかにすると、飼い主さまに不信感を与えてしまいます。動物病院は大切なペットの命を預ける場所のため、不信感を与えた時点で他の動物病院に移ってしまうでしょう。
飼い主さまとペットの幸せを追い求め、丁寧な診察を心がけることで、来院数は自然に増えます。ただし、どれだけ適切な診察をしていても、来院数の限界値が低いと売上が伸びません。そのため、ペットの飼育率が高く、周辺に動物病院がない地域など、より多くの来院が見込めるところに開業しましょう。
最新の設備は絞り込む
他の動物病院との差別化を図るべく、最新の設備の導入を考える方は多いのではないでしょうか。最新の設備は、一般的に普及している設備と比べて高額な場合が多いため、いくつも導入することは難しいでしょう。
そもそも、最新の設備を導入しても、飼い主さまがそれを求めなければ来院には繋がりません。また、導入している設備が多いほどに、それぞれの設備が目立たないため、魅力がうまく伝わらなくなります。
さらに、最新の設備をいくつも導入するとランニングコストも高くなるでしょう。最新の設備をアピールしたいときは、1~2台に絞り込むことが大切です。
まとめ
動物病院の来院数の目標値は、年商や1人あたりの診療費などから算出できます。開業場所やペットの飼育率、競合の有無などで1日の来院数は変動します。また、来院数を増やすことに躍起になると、診察の質が落ちる恐れがあるため、動物病院の本来の役割を忘れないことが大切です。また、来院数が増えずに悩んでいる方は、実績豊富なコンサルタントに相談してみてください。