ミズノ動物クリニック様 動物病院経営レポート
今回取材をさせていただいたのは千葉県印西市にある獣医師総勢14名、看護師11名のスタッフを擁するミズノ動物クリニックの院長である水野院長です。動物病院業界における採用難の時代にあっても、いかにして獣医師、動物看護師などのスタッフ採用・定着・組織化に成功されているのか、組織マネジメントや理念などについて水野院長のお考えを伺いました。変化の激しい時代に、柔軟に適応し様々な挑戦をし続けている水野院長との対談をぜひご覧ください。
採用HP:https://www.mizuno-vet.biz/mizuno
まずHPを見ていて一番気になったのが採用HPのインパクトですが、これはどういった経緯で制作されたのでしょうか?
ありがとうございます。人間味のある人が来てほしいなと考えて制作しました。「究極の一次診療病院」として、飼い主様とのコミュニケーションを大切にし、飼い主様及び動物たちとより一層寄り添った病院を目指しています。かつ、二次診療病院と同様の高度な治療ができるように、設備・環境・教育を整えておりますので、医療従事者として自主的にレベルアップしてもらいたいという想いもあります。このHPの内容を見て、その点に共感してもらえるような人間力の高い学生にきてもらいたいと常に考えています。
また、採用の際は、学生に私から率先して本音を話すようにしています。スキルや学術的な面ではなく人間性をとにかく重視しているので学生にも本音で話してもらい病院とのマッチングを意識しています。ですので、すぐにうちの病院への就職を決めてもらうのではなく5~6件は見学に言ってもらうように学生には伝えています。
とにかく人間性重視の採用をしているのですね。クレドなどもご用意されているかと思いますが、これはどういう風に作成されたのでしょうか?
これは、スタッフが自主的に作成してくれましたね。院長が作ったものではなく自分たちで作ったものを自分たちで実行していくという形が理想だと思っています。こちらは大体3年くらいで作り直していますね。
私の理想の病院像として、院長がいなくてもスタッフだけで病院が運営できること・よりよくなることです。もっと砕けた言い方をすると、「院長がいるかいないのかわからない」という状態になっていってほしいですね。院長がやることは「お金が絡む時」「謝るとき」だけなのが理想です。
お話を聞いていると、スタッフが非常に自走している状態だと思ったのですがどのようにこういった組織を育て上げたのでしょうか?
基本となる考え方として、先輩スタッフには、後輩からみて「かっこいい獣医師」「かっこいい看護師」になってもらいたいという思いがあります。あこがれの対象は院長ではなく先輩獣医師や先輩看護師であってほしいのです。
そのため、基本的にはスタッフのミーティングに、私は入りません。ミーティングを運営してくれるのは副院長や年次の長い獣医師、看護師です。私はトップを集めた幹部のミーティングのみに参加し、後輩育成における悩みなどをアドバイスをする立場となっています。つまり、院長である私は、幹部に病院の方向性や理念、自分自身の思いを伝え、それを幹部がメンバーに伝えていく組織の仕組みづくりを行っています。その過程で、私はどんどん幹部に権限移譲を行っています。そして、スタッフの意見を尊重しているので、スタッフがやりたいと思ったことはなるべく実現するようにサポートを続けています。
ありがとうございます。院長の理念と組織作りの仕組みがきちんと機能しているのですね。
なお、現状副院長が2人いらっしゃる状態かと思います。
これはどういった理由で二人にお任せしているのでしょうか?
今いる二人の副院長は、それぞれ性格が真逆の二人なのです。それぞれの良いところをだせるように副院長の業務を分けて、副院長を二人に任せています。
二人目を就任させる際は、初めの副院長に確認ももちろんを行いました。
そうなのですね。他の動物病院では右腕(副院長候補)の育成で悩まれている方が多いのですが、一つの病院で2人も右腕を育てあげたのはどのように育成されたのでしょうか?
まず初めから副院長に育てようと思っていたわけではありません。働いていく中で病院が合わないということもあると思いますし、人生は何があるかわかりませんので、退職してしまうリスクも当然あります。ですので、目の前の獣医師の成長だけを本気で考えて、できうる限りの成長のためのサポートをしていきました。個人個人の成長のために、院長として先行投資をしたという形です。
その中でいろんなことを実際にやらせてみたり、理念を伝えたりプライベートでのみにいったりする中で気づいたら結果として育ってくれました。今では自分よりも、学術的にも人間性としても優れている獣医師ができて大変うれしいです。
いろいろとお話しを聞かせていただきありがとうございました。
最後に、水野院長が今後目指していくことを教えてください。
病院としての今後は、病院にかかわる人のすべてが幸せになってほしいなと思っています。スタッフだけでなく、スタッフの家族、メーカーさん、業者さんが当院と関わることで、幸せになってもらいたいのです。ですので、新しく入社したスタッフの方には病院に来てくれる方には丁寧に対応することを一番にお伝えしています。
自分自身の人生のゴールとしては、自分が死ぬときに幸せな人生だったなと感じられたら良いですね。日々、自分らしくいきていくことが大切だと考えています。
水野院長、この度はお忙しい中お時間いただきありがとうございました。
ミズノ動物クリニックのテーマソングができましたのでぜひ聞いてみてください。
水野院長のご経歴
麻布大学獣医学科 放射線学研究室 卒
2010年4月~2011年10月 麻布大学 画像診断科専科研修医
2016年4月~2018年 3月 日本獣医生命科学大学 獣医外科学教室研究生
獣医整形外科 AO Principles Corse 研修課程修了
獣医整形外科 AO Advances Corse 研修課程修了
獣医整形外科 Synthes Spine Seminar Principles Corse 研修課程修了
獣医整形外科 Synthes Spine Seminar Advances Corse 研修課程修了
獣医教育・先端技術研究所主催 腹部超音波研修修了
獣医教育・先端技術研究所主催 心エコー研修修了
ヨーロッパ外科認定医
○ご挨拶
ミズノ動物クリニックは、皆様のかけがえのない大切なパートナー(ペット)の命をお守りするだけでなく、飼い主様への心のこもった診療を提供することをもっとも大切な使命とする病院です。 「ホスピタリティー」と「コミュニケーション」により、飼い主様に居心地の良い、心暖まる病院を提供することを心がけていきますので、これからも末永くよろしくお願いいたします。